BLADE10月号

ARIA三期はありがたいんですが, ポスターとかカレンダーとか, 月ウンだとか,搾取されようかされまいかしゅんごい悩んじゃいますが,スルーしたいです.

さて,問題はNv.56です.
とりあえず,初見では意味不明で,10回ぐらい読み直して何とか自分なりに解釈してみましたが,やっぱり変な話というか,これはちょっと摩訶不思議ですませるわけにはいかない.こんなにわかりにくい話は天野先生的にはかなり珍しい気がする.要するにこれは,灯里さんが,自分の中に秘めたアリスちゃんへの恋心に目覚めるという話...ではない.もうほんと灯里はさっさとアリスに告白して結婚しちゃえばいいのにね!って思ってるのはあたしだけですか?そうですか

以下ネタバレ↓
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タイトルの「生き人形」というのが非常に思わせぶりというか,いろいろ寓意が込められていそうな意味深ですが,ひとまずこれは置いておきます.とりあえずここ1ページ目には,笑顔で目を瞑る,灯里を模した人形が描かれています.2,3ページで灯里は,プリマになって一緒にいられないアリスのことを考えますが,特に寂しがったりネガティブな感情を表してはいません.


それから登場するのが人形をつれた謎のおじさんです.後の国崎往人です
おじさんは言います,人形とは普通 持ち主の願望を叶えるためにみな無表情に作られており,見る人の感情によって,笑って見えたり悲しんで見えたりすることで,人間の欲求を満たすものなのだと.しかし,おじさんが連れている2体の人形は違います.片方は目を瞑りずっと微笑んだままで,片方は薄目を開きずっと悲しい顔をしたままでいます.
おじさんはここで,永遠に変わらない表情を持った人形と,常に変わり続けていく人間を引き合いにだして,嬉しい時間も悲しい時間も全ては変化していく...と,まとめに入っています.これはアリス昇進に伴う灯里を取り巻く状況の変化をわかりやすく暗示しています.


続く見開きで,おじさんは正反対の表情を持つ二つの人形の役割を説明してくれています.笑顔の人形は,終わることの無い微笑みにあこがれを抱かせる.憂い顔の人形は終わることのない悲しみに恐れを抱かせる...と.
ここで,1ページ目が重要になってくるんですが,灯里という子はこの一ページ目の絵のように,あるいは笑顔の人形のように,幸せな気持ちを胸一杯にして,あるいはそうしようとして生きてる子だと思います.だから,アリスが不在でも,寂しがる風でなく,「わたしもがんばらないと」って奮い立ってみせるのです.そして,この笑顔の人形は,おじさんの言うところの幸せな夢,灯里たちが3人で仲良く練習したり遊んでた日々の象徴でもあると言えますし,灯里自身もそのときのことを思い出しているかもしれません.しかしここには同時に,悲しみを思わせる,憂い顔の人形がいるわけです.灯里はこの人形をみて,今やり過ごしている,無意識に考えないようにしている,自分の中の悲しい感情に気がついたのではないでしょうか.アリスちゃんがいなくて寂しいとか,ほかにもっと漠然といろいろとあるのでしょうけど.


まとめると,アリスと過ごした楽しかった日々が終わってしまったことと,それを自分が悲しんでいることに,灯里自信が気がついたというお話です.なんだか悲しいですね.しかし悲しい時間にも変化が訪れるという希望も綴られているので,それが救いと言えば救いです.
灯里の寂しさをストレートに描くよりもずっと,灯里ちゃんの内面に迫った味わい深い一編だと思いました.
皆さんはどう思いました?