生きる意味 (岩波新書)

生きる意味 (岩波新書)

わたくしは未だ見失ったままです.だけど見つけられそうな気がします."苦悩は内的成長のきっかけになる",と著者は言っています.わたくしは苦悩して,そしてこの本を手に取ったのでした.
わたくしにとっての"生きる意味"は,世界のために自分にしか出来ない功績を残すことだと思っていました.だので,ただの学生がその目標(実のところはもっと具体的)でもって充足されることはありえないことです.わたくしが自分の才能を信じて,そして自分の目標が自分にとって一番価値のあることだと信じれば,それで生きていけるでしょうが,実際は高校時代からずっと,「生きる意味が足りない」と感じ続けていたのでした.
その生きる意味を高校から大学へ入って今までの間,補強し続けたのが,恋愛でした.好きな人が,自分を必要としてくれるなら,それは生きる意味として十分だと感じられたのです.しかしそれはわたくしの思い違いで(?),結局自分はその人にとってかけがえのない人ではなくて,交換可能な一人の男に過ぎなかった(言い過ぎか?)のだと気付き,今,生きる意味の枯渇という,四年以上先送り続けてきた問題と向き合う機会を得たのです.
自分が"かけがえのない"存在であると思うことは,生きる意味と直結します.そしてその"かけがえのなさ"の意味するものは,自分にとっては,文字通り唯一性を備えることでした.しかしこの本で,その言葉の意味は大幅に拡張されています.他者とコミュニケーションをとり,支えあうことが出来れば,かけがえのなさを実感することがことが出来る,と言うような記述が在ります.あぁ,それはわたくしが恋愛で実践して,そして失敗したのだ.著者はこうも言っています,苦悩と向き合い,新たな生きる意味を創造することが内的成長に繋がり,人生を創造的で豊かなものにするのだ,と.そして著者は生きる意味を作るヒントを沢山記してくれている.
わくわくすることを見つけろ.
自尊心を持て.
支え合える友達をもて.
本音ではなせ.
苦悩と向き合え.

わたくしは何とか,きっと生きていけることだろうと思う.

ちょっと視点を変えて,フツーにこの本に突っ込むと,著者は社会学者とゆーこともあって,コミュニケーションの重要性を繰り返し説いている.会社や学校といった中景*1のコミュニティはすでに信頼関係の喪失から,コミュニティとしての機能を失っている,とゆーかそもそも会社や学校は,均質に効率化というイデオロギーを強要するので,創造的な人生をおくる場となり得ない.で,それにかわる新たな中間社会としてのコミュニティ(NPOやセルフヘルプ・グループ)が現れているし,それらを新たに作ることは出来るんですよー,その中でみんなで仲良くやっていきましょう,それが豊かな社会をつくるんですよー....っと著者はいっている.が,,それはわたくしからするととても遠いこととゆーか,現実感の無い話題でありまして,主張はとても納得できるものだが,自分は実践することがむずかしいことであると思ってしまう.それらの中で,わくわく出来たり,人と支え合えたり出来れば,それがそのまま生きる意味に繋がるダロウが,そうゆう団体に興味を持ってこなかった,ので,どうしたものかと思ってしまうのです.いやこの本読んで興味持ちましたけどね.

*1:本書内で近景は家庭,遠景は国家などを指す