タム・グリン 火竜の翼 (コバルト文庫)

タム・グリン 火竜の翼 (コバルト文庫)

即物的で,欲望に従順で,しかしそんな自分の行動がシェランを傷つけていると気が付かない愚かな少年イオの姿は,自分のことのようで,とても痛いです.思春期の少年少女が恋愛と性における意識のズレから,特に男の子が女の子を傷つけてしまうというトラブルは,よく描かれることですね.そして,男の子はもっと女の子の気持ちを大切にしなさいって教訓が与えられるわけです.ほんと女の子は女の子同士仲良くするのが一番だと思います.男の子なんて知りません.本作は,欲望を持たない妖精やシェラン達との対比で,人間の心の醜さみたいなものが浮き彫りにされていて,馬鹿だたわけだと言われ続ける主人公のイオに感情移入しすぎるととても凹みます.やっぱり男女交際なんてよくありません.