ジェンダーで学ぶ教育

ジェンダーで学ぶ教育

学校教育や家庭,マスメディアなどが少年少女に加えるジェンダー教育の分析と,教育においてジェンダーフリーを実現する方法の考察などが,章立てて複数人によって書かれたテキスト.
この手の話は,女性(あるいは性的マイノリティ)にとって不利に働く枠組みを解消しよういう,フェミニズム的主張が主な内容として扱われ易い,とわたくしはおもいます.本書もそんな感じです.その中,本書では中村正が書いた男の子論の章がありまして,わたくしはとても印象に残りました.でも飛躍が多くて,内容はとても分かりにくい.

男性は絶えざる自己否定の中を生きることでアイデンティティが保たれる

中村は男らしさは女らしくないことという否定形でしか定義できない.だから男の子の自尊心は自己肯定に繋がりにくいといっている.目標を掲げて頑張ろうという克己心や向上心すら,今の自分に対して否定的な側面があるというのは,まさに自分がいつも実感しているところ.また中村は,今の社会が女性の社会進出にとって不都合な要素が多いと言われる,その反対に,男の子に対して,立身出世セヨという強いピア・プレッシャーを掛ける点を指摘している.で,男の子も辛いんだよ.というわけだ
このピア・プレッシャーというのが,これに応えることも無視しることも出来ない人間にとっては劣等感と不幸の源ともいえる厄介なものに思えた.帰属する社会からの評価(とそれによる序列化)というのが主な駆動力となってピア・プレッシャーが働くものと思うのだが,わたくしの周囲でのその評価基準(価値観とも言い換えられそうだ)はおよそ共同幻想に基づくものがほとんどだと思います.で,わたくしとか,ほかの人も社会からの評価を下げて劣等感にさ否まれないために,与えられた価値観にある程度順応しなくては上手く生きられないことになります.こういった価値観やそれを半ば強要するシステムが出来上がるメカニズムが,気になります