タム・グリン

これでも完結ではないんですね.
結局,フレイさまは誰ともなく人間の魂を恋うていながら,人間の持つ黒い心を厭うあまりに自分が魂を得て人間になることはしなかったのだと.しかしその欲求を,魂を持ちながら心の白いハーフエルフと結婚(?あるいは彼女を所有)することで満たそうとしたと言うことですか.何かを求める心がある時点で,彼は魂をもつ素養があった訳ですが,結局死するまで自分を変えることをしなかったのですね.死んで吹っ切れたってかんじですか?
彼が,異性との結婚という形にこだわったのは,妖精の森の安定のためというだけでなく,もしかしたら恋愛をもしてみたかったのかも.人間と恋ををした他の妖精の気持ちを知りたかったのだろうかもなぁ.
イオとシェランは,絶対的な権威である,妖精王,あるいは父親の庇護に逆らい,自分の生き方を自分で決めると決意しています.二人にそうさせるのは,何にもまして恋愛感情でありまして,イオの"自分の名前を忘れたって,シェランのことは,覚えていたよ。"という台詞は象徴的です.自分を自分だと確認するために他者との関係(特に恋愛)を媒介するのは,本人にとってとてもわかりやすいし,読み手にとっても,ロマンチック・ラブって素敵ねって思えますね.はぁ
あとシェランのパパがなんといういか,とても冷たいひとみたいな書かれ方をしてたのがちょっとかわいそうっていうか,フォローがあるのかなぁ.それから,イオの生い立ちがちょっと小出しにされましたね.あぁ別にどうでもいいですけどきっとつづきも読むのだわ.