伯爵と妖精

取り換えられたプリンセス 伯爵と妖精 (コバルト文庫)

取り換えられたプリンセス 伯爵と妖精 (コバルト文庫)

毎度の如く浮気(?)に余念がないエドガー氏ですが,エドガーの昔の彼女っていう設定のキャラが出るのはたぶん初めてです.その彼女は別にリディアと泥沼を演じるわけではなく,エドガーが,そしてその彼女も,自分の気持ちを偽って二番目と付き合える,あるいは自分の気持ちを偽るために二番目と付き合ったりする人だと言うことを示すのです.そして,それはエドガーにとっておそらく一番大切であった女性,アーミンの影をリディアに思わせるわけで.
冒頭で,エドガーがリディアのために,身分違いの結婚をした知人のフィアンセを紹介するエピソードがあるのですが,そのミドルクラス出身の彼女は,打算から貴族との結婚を望んでいたのだとか.
そういった,いくつかの他人の恋愛観だとか過去の恋愛経験は,リディアの憧れるロマンチック・ラブとは対称的な位置にあるもので,結局それは身分の違い以上にエドガーとの距離をリディアに感じさせるのかも知れません.
とゆーか,今巻はエドガーの根性の無さとゆーか,中途半端さとゆーか,迷いというかそっちの方がよく目立ったとゆーかメインでした.なんというか,登場人物の感情の交錯具合が複雑さを増してきている一方で,テンションが中途半端に低くて,プチ泥沼というかヌル沼というか,恋愛小説としてもちょっと変な恋愛小説になってきたかんじです.